全人代による基本法解釈で本土派の議員資格剥奪の可能性大

なんというか、もはや茶番というべきか。昨晩の本土派・泛民主派によるデモ、夜には西環にて暴動に発展しました。

香港デモ、警官隊が催涙スプレー 傘で防戦、双方負傷か:朝日新聞

中国法解釈に抗議、大規模デモ=全人代、7日に「処分」明示か-香港:時事通信社

香港 中国の基本法解釈に抗議デモ:NHK

香港の民主派団体、議員宣誓問題で反中デモ:日本経済新聞

反釋法遊行後 4,000人夜圍中聯辦與警衝突 佔領西環:蘋果日報

これは本土派・泛民主派の議員宣誓無効に関する司法審査が、香港の高等法院(高裁)の手を離れて中国全国人民代表大会(全人代)による判断に委ねた事に対する反対デモ。ここで暴動を起こしてしまっては相手(=中国共産党)の思うつぼなのに...。

今朝、その全人代による法解釈が出ました。1997年に香港基本法が施行されてから、5回目の法解釈、香港自治への介入となります。今回は104条の立法會議員による宣誓について、その解釈がなされました。

香港2議員資格剥奪 全人代「就任宣誓で中国侮辱」 :日本経済新聞

香港独立派議員の宣誓問題、中国が介入 資格剥奪へ:朝日新聞

香港独立派議員の資格剥奪へ 中国全人代が「基本法」解釈を公表:産経ニュース

釋法變立法 京誓連根拔起本土派:蘋果日報

これにより、今回の原因の元凶であり、若手本土派の梁頌恆、游蕙禎2名の議員資格が剥奪される可能性が高まりました。また全人代による法解釈ではかなり細かく宣誓時の取り決めが明文化されていて、それに従うとこの2名以外の本土派・泛民主派4名も引っかかって議員資格剥奪か?と言われています。

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本土派の2名がやらかしたことは、中国共産党にとって香港の「高度な自治」を都合良く制限するための口実を与えてしまいました。自分達の自己主張も良いけど、こうなることは事前に予想出来ていたはず。この2名が、香港の「一国二制度」を終了させた元凶として歴史に名を残すことになるかもしれません。

僕は「香港独立」が現実味のない話なのは承知の上で、思考実験として検討する分には良いのではないかと思っています。また経験の無い若者であっても、香港立法會から香港を良くする機会を与えるべきだと思い、先の選挙で一票を投じています。幸い僕が選んだ候補者はまだ理性的であるようですが、上記蘋果日報の分析では、まだ剥奪される可能性も無くは無いのが気がかり。

僕の投票した若手議員と、本土派の違い、主義主張(は似通ってますが)以外に何があるのだろうと思っていたところに、以下の記事がありました。

Let's welcome those localist legislators who show real ability:South China Morning Post

本土派はアクティビスト、それ以外の若手議員は政治家であると喝破しています。確かに本土派の2名は街のアクティビストから政治家になりきれなかった、というか、ならなかった。アクティビストとして立法會に乗り込んだため、その代償を払うことになりそうです。その他の若手議員は自己主張よりもより実践的に香港社会を良くするために活動し始めていた点が、命運を分けたようです。

今回の騒動の一番の犠牲者は本土派の2名ではなく、香港市民、特に彼等に投票した地域の人々でしょう。以下のサイトに、梁頌恆へ投票した一市民の意見として記事があります。

What have you done Baggio Leung? I voted for you to represent us inside LegCo:HKFP

今後彼等の議員資格が剥奪された後補選が行われるでしょうが、その時この2名含め本土派はもう立候補すら出来ないでしょう。市民の選択肢を奪ったということも認識し、反省して欲しいです。