Amazon.co.jp: 本: 観光コースでない香港―歴史と社会・日本との関係史
そのタイトルに偽りなし。マニアックというか、観光で行っていると気がつかないような、香港の歴史をひもといてくれます。著者は元朝日新聞の香港支局長。
読んでて、行きたいところがまた増えてしまいました。写真も多いので、本に載っている場所を訪れるのもわかりやすくてオススメです。
またこの本を読んで改めて思ったのは、香港人というのは、「中国人であって中国国民ではなかった」、ということ。元々香港は田舎の寒村で、イギリスが無理矢理奪った後は、日中戦争や国共内線、そして文化大革命などから逃れてきた難民で構成されているわけです。
だからこそ、彼らは資本主義と自由を愛し、謳歌し、それゆえパワフルなんでしょう。そのエネルギー感こそ、僕が香港を気に入っている理由と実感しました。そして2度訪れている上海で、見た目の華やかさで香港に負けず劣らずなのに、香港ほど気に入ることがないのも、同じ理由なんでしょうね。
ところで、ジャーディン・マセソン商会がアヘン戦争を引き起こし、中国から香港を割譲するきっかけになったわけですが、この貿易商社は未だ香港経済に大きな影響力を持っています。
もうすぐ東京にもオープンする外資系ホテルの経営母体、『マンダリン・オリエンタルホテルグループ』や、香港ではあちこちにあるスーパー『ウェルカム』、そしてドラッグストアチェーンの『マニングス』などがそのグループ企業。驚きました。
アヘン商人達が興した会社が、未だに顕在し、隠然たる力を持っているとは!アヘン戦争、といっても風化しつつある歴史の一部くらいにしか考えていなかったけど、未だにその流れは続いていると思うと、不思議な感じです。