オウム・サリン事件の実行犯、豊田被告の東大時代の学友、伊東さんによる、この10年余りの豊田被告とその回りの状況を、手記のような形でまとめた本。
いかにしてオウムは信者を獲得していったのか、なぜ超高学歴の人間を信者にする必要があったのか、そしてオウムテロ事件は一部の人間の暴走なのか、それともいつでも、誰にでも起こりえる普遍的な問題なのか。こういった問題提起に対して、様々な観点から答えを出そうとしています。
一番重要な、「誰にでも起こりえるのではないか?」という疑問に対し、起こりえる、というのが伊東さんの考えで、それを未然に防ぐには、裁判において法倫理に基づいて極刑にするのではなく、被告人たちからありのままに語らせ、社会全体で問題意識を共有しなければならない、と結論づけています。
それが題名に繋がるわけ。黙して語らず、というのがかつての大英帝国の海軍のモットーであり、それはそのまま日本でもままある現象ですが、それでは真の問題解決にはならない、というのが伊東さんの主張なのです。読んでいて非常に共感を覚えました。
多少、話があっちこっちに飛ぶので混乱するところもありますが、オススメな本です。
さよなら、サイレント・ネイビー―地下鉄に乗った同級生
posted with amazlet on 07.04.18
伊東 乾
集英社 (2006/11)
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