『The Elephant and the Dragon: The Rise of India and China and What It Means for All of Us』読了

1月のYLPのセッションで薦められた本の1冊です。象はインドを、龍は中国を指しています。ちょっとうがった書き方でまとめれば、インドと中国がどのようにして、なぜアメリカから職を奪ったのか、また今後アメリカ人達はこの状況に対してどう対応していくべきか、ということをまとめた本です。

まずはインドと中国の経済開放の歴史から紐解き、アメリカを中心とした開発先進国が最初に製造業を、続いてコールセンターやソフト開発をインド・中国へ移していった背景を描いています。その過程で香港のサプライチェーンマネジメントを活用した大手商社の利豊も出てきますし、大連でコールセンターを経営している大前研一も出てきます。

結論としては『World Is Flat (Updated and Expanded)』に近いのですが、他の国に移転できない仕事というのは必ずあるので、そういう仕事を見つけることと、教育制度を見直して中国やインドに負けない人材を育てていくこと、ということになります。

これ、日本も人ごとではないなと思います。たまたま日本には日本語という高い参入障壁があるので、ホワイトカラーの仕事までオフショアに出すのはなかなか容易ではないです。それでも大前氏が大連にてコールセンター業務を運営しているように、少しずつそういう動きが加速していくでしょう。

危機に面してから行動するのでは遅いので、まだそういう動きが一部に留まっている今こそ、しっかり100年の大計を持って、行動しなければいけないのではないかと思います。

The Elephant and the Dragon: The Rise of India and China and What It Means for All of Us
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日本語訳はこちら。

インドと中国―世界経済を激変させる超大国
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