『中国の地下経済』読了

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今年中国は四半期ベースでとうとう日本のGDPを抜き去りました。実はそのGDPの半分にもなる額の地下経済が存在しており、その役割を丹念に取材して浮かび上がらせています。

僕の住む香港・上水も出てきます。この駅は香港の中で唯一常時警備員がいる駅。最初はなんでこの駅だけこんなに物々しいのだろう、と思っていたのですが、大陸への運び屋らしい人達がわんさか溢れているのを見て納得していました。実際彼等は地下経済に直結する運び屋で、駅の混雑の元になるため、上水では警備員が見て回っているようです。

この運び屋、表に出せないようなモノというより、企業がカバー出来ないような小回りのきく宅急便的役割を果たしていて、香港にある様々な企業が小ロット、少額、迅速な配達をしたい場合に使われているようです。

丁度こんなblogの記事もありました。

運び屋は主に女性〜大量の密輸品を身体に巻いて1回200元:中国市場をタオバオから開拓

かように、クスリや違法品のようなものだけじゃなく、市民の生活に密着していたり、中小企業へのサービスがなされており、いわば中国における必要悪的な存在となっています。だからこそ、その経済規模がGDPの半額分にも匹敵するのでしょう。

中国の実体経済を知るには良い本です。

中国の地下経済 (文春新書)
富坂 聰
文藝春秋
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