竹中平蔵講演会

今日はHKUST MBAの後輩、というより、お仕事上のお付き合いより、某氏から竹中平蔵さんの講演会にお招き頂きました。

現在竹中さんはパソナグループ取締役会長をしており、今回の講演会はパソナグループのお客様向けの講演会なのでした。

講演テーマは「世界経済情勢と日中経済関係の行方」、だったのですが、日中の話は一切無かったです...。まぁ全体として面白い話が聞けたので個人的には大満足ですが。もしかしたらQAセッションで話が出たかもしれませんが、仕事の都合上講演終わり次第すぐに会場を後にしてしまったのでそこまではわかりません。

今日の話の中で印象に残ったのは以下の点。

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・プレゼンの上手さ
手元にメモ書きを用意していたようですが時折チラ見する程度で、よどみなく、参加者の方へしっかり顔を向けながら、具体論でお話をされていて、相当上手いなと思いました。エコノミストというと抽象論やマクロな話、スライド読み上げタイプが多いので、竹中さんは正反対でした。

・人口の話
今一番気にしなければならない世界経済への大きな要因が人口であると話していました。これは毎月参加しているFenix Groupの荻野さん主宰のサロンにて、荻野さんも何度も話をしていたので、よく分かります。逆にこの点に気づいていない人がまだまだいるからこのトピックを講演の冒頭に持って来たのだろうと推測。

・JALの話
自助努力で過去最高益を上げたANAの6倍利益を出したというJALに対し、国が救済したのは間違いであると徹底糾弾。国による民間企業の救済には2つの理由以外はあまり考えにくいとのこと。

1つが負の連鎖が起こりえるパターンで、これは銀行などの金融機関等が該当します。1行つぶれると連鎖的に健全な他行にまで取り付け騒ぎが起きかねないから、国が救済すると。

2つ目が「大きすぎてつぶせない」というパターン。雇用や社会を不安定にする可能性があるため、巨大企業がつぶれそうなときに助けると。これはアメリカのGMが当てはまります。

JALはこのどちらにも当てはまらないので、救う必要が無かった、という理論。JALがつぶれてもANAが連鎖倒産はありえないし、32万人の直接雇用をしていたGMに対し、2万人のJALでは「大きすぎる」とは言えないと。

・増税反対
今日本の世論調査では増税に対し賛否が半々なんだとか。これに対し竹中さんは反対を唱えています。理由は簡単。増税する前に支出をしっかり絞るべきで、出来るところまで支出を減らしてそれでもお金が足りない時初めて増税の議論をすべきである、と。僕も全くその通りだと思うので、香港にいると直接はあまり関係ないのですが、反対です。

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具体例や数字を用いて色々なトピックについて話をして下さり、聞き手としては興味深かったのですが、そんなに理論的に、シンプルに割り切っても、いざ政策として実行しようとすると様々な障害があってなかなか上手くいかないのだろうなと感じました。ただそういう思考実験を個々人が繰り返すことは今の日本には必要なんだろうなとも思いました。そうでないと御上の言うとおりに従うだけになってしまうので。