MBA取得後のキャリアについて自分の経験を元に。

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最近複数の方から似たような問い合わせを受けたので、改めて書いてみます。

「MBA取得後のキャリアについて」ということ。

・地域/国
・産業/業界
・職種

この3つの要素のうち、1つを変えるだけでも相当大変。なぜならどれも「過去の実績/経験」を活用できない、もしくはそう見られるからです。

「地域/国」を変えた場合は「異なるナショナリティのステークホルダーと働けるのか?」
「産業/業界」を変えた場合は「業界の知識、経験がなくてどうやって顧客と対話し、関係を築いていくのか?」
「職種」を変えた場合は「経験のない職種でどのように業務を遂行するのか?」

等々。

僕はMBA卒業後の就職で、「地域/国」と「職種」を同時に変えました。これを成しえた要因は、香港のMBAに来ていたことというのが大きいです。MBAに来ていなければどちらか1つを変えるだけでも相当大変だったのは間違いない。そういう意味でMBAは自分のキャリアの転機になったし、来た価値があり、成功したといえると思います。

ただし得るものばかりではなく、過去blogでも何度か書いていますが、妥協した点も少なからずあります。

・MBA留学前の期待値をかなり下回る転職後の初任給
・日本での保証(年金や健康保険等)
・ポジション(一担当営業として下っ端からやり直し)

今の会社の面接の時に希望給与の交渉を行った時も、今の上司からはっきりと「営業経験無いあなたを採用するのは会社としてリスクをとっている。その分希望給与からは引かせてもらう」と言われ、納得したものです。

香港の日系企業で現地採用の道を選ぶ場合、給与は正直どこも五十歩百歩。その中で今の会社を選んだのは、日本人駐在員がおらず、香港人に経営を任せていた点を高く評価したから。グローバル企業というのはそうあるべきだと思うし、駐在員がいるとその会社内でのキャリアパスやパッケージはかなり限定される(現地採用が経営に関わることはかなりまれであったり、給与待遇面で超えられない壁がある)であるからです。

就職してから3年半ほどたちますが、年収ベースでは毎年高率で上げることができているし、さらに一担当営業から営業マネージャになり、さらに正式な肩書きはないものの徐々に経営面でも上司から頼りにされているところまで、自分の責任範囲が広がっていると思っています。

上記3つの要素を変える転職であれば、優先順位が大事で、どこかで妥協することも必要。しかし実績の無い初年度はとにかくひたすら努力して高いパフォーマンスを出し、2年目以降はそれを元にきっちり会社と交渉していく、そういう考えを持つことも大事だと思うのです。実績があれば交渉次第で結果が変わる、というのは日本ではなかなか難しかったですが、海外ではそこが出来るのがいいところでもあるし、面倒なところでもあります。

問い合わせを受けて答えを返すときは上記を踏まえてロジカルに説明をするので、「筋が通っていてすごい成功ですね」とよく言われるのですが、実際のところはいろいろ迷ってきたし、挫折をし涙してきました。妥協もたくさんしているし。

ただ自分なりの軸を持って大きくぶれないようにしてきたのは間違いないし、そうでないと今の状況に持ってこれなかったとは思っています。軸というのは、自分の強み弱みを踏まえた上で、5年後10年後にどうありたいかというビジョンと言い換えてもいいでしょう。まずはそこをしっかり考え抜くこと。それが、あるべき姿に近づく第一歩だと思います。