『「反原発」の不都合な真実』読了

外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々』の著者が、反原発運動に関して論理的にその運動の不合理性を説いている本です。

本書に書かれているロジックはわかりやすく、説得力があります。しかしながら著者は人間の不合理性を考慮していないか、見下している気がします。

経済学でよく仮定される「経済的合理性」というのは現実世界にはなかなか現れないわけで。理屈で正しいと分かっていても心理的、感情的に受け入れられない、ということは人間の日常にはよくあること。反原発運動はまさにその点が重要なのじゃないかなと思います。放射能という人間には知覚できない敵が相手だとどうしても必要以上に脅威を感じるもの。そのあたりを考慮の上で説いていく必要があったんじゃないかなと思います。

「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)
藤沢 数希
新潮社
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