香港の民主化デモについて その5

「學民思潮」を中心とした学生達が『佔領中環』・『雨傘革命』において訴えている「真の普通選挙」とは、「民主香港」を実現するために必要不可欠な仕組みとしています。これは1997年7月1日英国から中国へ香港が返還されるにあたり「一国二制度」と「港人港治(香港人による高度な自治)」を50年間不変とするという約束の下、香港人が求めているものです。

その民主主義とはそもそもなんなのか、TwitterやFacebookを見ていてもいろんな考えや概念が混ざっているようなので、ここで1つの定義を紹介。


民主主義(みんしゅしゅぎ、デモクラシー、英語: democracy)とは、国家や集団の権力者が構成員の全員であり、その意思決定は構成員の合意により行う体制・政体を指す。 日本語では特に政体を指す場合は民主政(みんしゅせい)とも訳される。 日本語の広義の「民主主義(みんしゅしゅぎ)」は上記の体制・政体をも指すが、狭義ではこの民主制・民主政を他の制度より重んじる主義(思想・運動)を言う「=民主制主義」。

民主主義 - Wikipedia

今回の雨傘革命において様々な人達が発言の自由、政治的自由等を混ぜて主張していますが、學民思潮の主張は上記の定義に基づき「真の普通選挙」を求めることとなります。逆に言えばこれまで香港は「港人港治」の下で資本主義と様々な権利・自由を享受してきたのは間違いありませんが、実は民主主義は一度も手にしたことがありません。このことに気がついていない人は結構多いですが、英国統治時代も為政者は英国政府が任命した歴代総督であり、中国返還後も香港市民の一部による間接選挙で選ばれた人が行政長官(日本で言うところの総理大臣)に選ばれているのです。

そのため今回の運動が失敗したからといって民主主義を失うことはありません。元々手にしていないのだから。

さてその民主主義ですが、必ずしもそれが素晴らしいモノではないということも、あまり知られていません。英国元首相のウインストン・チャーチルですら、以下のような発言を残しています。


民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。
It has been said that democracy is the worst form of government except all those other forms that have been tried from time to time.

1947年11月11日、下院演説にて
ウィンストン・チャーチル

日本の政治の迷走状況を鑑みても、民主主義がパーフェクトな政治形態、体制でないことはわかります。民意を反映させることは大事ですが、それに振り回されがちになり、安定した政権基盤の下中長期的な計画を発動させることが難しいのです。

それ以外の政治形態はどれも問題外なので、消去法で残っているのが現在民主主義なわけです。なので「民主主義」「民主」を金科玉条として学生達の運動を美化してしまうのもどうかなと思うのが個人的な意見です。