本の副題「ワールドワイドウェブからの独立」というのは皮肉が効いています。
ご存じのように中国のインターネットはグレートファイアーウォールによって「人民に悪影響を与えるサイト」をブロックする仕組みが導入されています。このため中国国内のインターネットは半鎖国状態な訳です。これを副題で皮肉っています。
『The New Digital Age』にもこのあたりの話が書かれていましたが、実のところネットの検閲をしているのは中国だけではなく、ベトナムやタイでも行われています。中国が目立つだけ。
その中国でインターネットがどう発展してきたのか、体系立てて解説をしているのが本書で、非常によくまとめられています。グレートファイアーウォールによる検閲はここ数年で強まりましたが、中国のインターネット黎明期からそのような手立てを打つ構想があったことまで、しっかり調べておいでで、著者の調査力が素晴らしいです。
マスメディアからの断片的な情報だけに頼るのではなく、こういう本で現状を学ぶことも必要だと思います。
中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 (星海社新書)
posted with amazlet at 15.12.09
山谷 剛史
講談社
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