『境界の民 難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々』読了

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中国国内に長く住んでいる著者が描いた本。第二次世界大戦後の国際秩序の狭間に落とされてしまい、「○○人」というアイデンティティを持つことが難しい人々に注目して書いています。

僕の周りにはこの本で描かれているような人々はいませんが、日本の常識では考えられないような複雑な背景を持つ友人と香港で出会いました。たとえば中華系イギリス人で英語と広東語ネイティブだけど中文読み書きは出来ない、とか、姓はタイの名前でタイ語・英語・広東語がネイティブだけどカナダとアメリカのパスポートを持っているとか。

そう考えると日本に住む日本人の多くは「日本人」としてのアイデンティティを持ち、シンプルではありつつも、実際には国内にもマイノリティがいるのにほとんど意識することなく暮らしている、というのは不思議でもあるし、マイノリティがどう受け止めているかということが理解しづらい状況かもしれません。そういう人にはこの本で書かれている人々の存在は衝撃的かも。

境界の民  難民、遺民、抵抗者。 国と国の境界線に立つ人々
安田 峰俊
KADOKAWA/角川書店
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