三権分立の危機

先週の宣誓の問題がまだ尾を引いている香港立法會。こんな問題が起こりました。

Hong Kong tries to block lawmakers who insulted China: CNN

'Sudden assault': Youngspiration duo slam gov't's legal bid to bar them from retaking oath as lawmakers: Hong Kong Free Press

立法會主席に先週選ばれた梁君彦に対して、先週宣誓無効とされた5議員が再宣誓の機会を求め、梁君彦はこれを受け入れたとのこと。これで5人がきちんと宣誓すれば先週の問題はおしまい、になる予定だったのですが...。

再宣誓許可の判断に対し、香港政府の法務大臣に当たる律政司が高等法院(香港の最高裁)へ「游蕙禎(ヤウ・ワイチン)と梁頌恆(バッジョ・レオン)の2名に再宣誓を認めた梁君彦の決定は覆されるべき」という司法審査を申請しました。これは司法審査を実施することで両議員の再宣誓を引き延ばし、議員資格を失うことを狙ったものと思われます。

これは立法権を司る立法會に対する香港政府の行政権の行使として、三権分立の原則を崩すやり方です。これを司法権を持つ高等法院が認めてしまったらもはや香港政府のやりたい放題、三権分立の崩壊です。

幸いなことにこの申請に関して、高等法院の裁判官が「明日両議員の再宣誓を止める」事案に関しては却下。しかしながら司法審査申請自体は受け付けたとのことです。今後この両議員に関してどうなるか、これが香港の政治・司法・立法体制に大きく影響してきます。

香港政府のやり方は認められないのですが、個人的にはこの両議員を含む宣誓無効とされた5議員の先週の宣誓がそもそも子供じみており、そんなことしているからこのような揚げ足取りをされるのだと思います。そうでなくても今の香港政府は中国共産党の強い意向と支援を得ているわけで、そこに立ち向かって香港をよりよい方向へ導きたいのなら、もっと自分達の言動を戦略的に考え、隙を見せないようにすべき。

新米議員には難しい、という甘えは許されません。議員になり高邁な目的を達成するためには、これまでの一個人としてのやり方はゼロベースで見直すべきでしょう。そのためのブレーンをしっかり持っていないのが、特に2議員の課題なのかもしれません。逆に民主派の中でも雨傘運動の中心人物の一人で有り、宣誓を認められた羅冠聰(ネイザン・ロー)は回りに見識を持った仲間を持っていたと言えるのかもしれません。