『天空の蜂』読了

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1995年に発表された東野圭吾の本作品。高速増殖炉へのテロ事件をテーマにしているため、長い間ほとんど宣伝されなかったようです。それについてはご本人が2006年にインタビューに答えています。

東野圭吾が告白していた"原発タブー"体験! 原発テロを扱った公開間近の東野原作映画『天空の蜂』は...

この作品で舞台となる高速増殖炉は名前を変えているものの、明らかに『もんじゅ』であり、原発行政の問題点を盛り込んだ力作です。この小説で描かれている問題点は実は僕が1997年に書いたゼミの卒論『原子力行政の是非』でも指摘していたものとかぶっていました。卒論書いていたときにこの小説を読んでいたら色々影響受けていたかも、と思わされるくらい。

本作品で描かれた原子力行政の問題点(そして手前味噌ですが僕の卒論も)は、東日本大震災時の福島第一原子力発電所被災に際して、何も変わっていなかったことが図らずも証明されました。15年近く前に書かれた本なのに、です。だからこそ、メディアはこの力作を封印してきたのでしょう。

昨年映画化され、それに伴って原作がクローズアップ。ようやく日本でもタブー視されずにすむ環境になったということかもしれません。

東野圭吾の他の作品よりもものすごく重厚に描かれており、まるで真保裕一の小説のようでした。そして実は真保裕一が巻末の解説を書いているという(笑)

原子力行政の何が問題なのか、知りたい人にもオススメします。

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