『結論を言おう、日本人にMBAはいらない』読了

早稲田大学ビジネススクール(通称WBS)の元教授で、戦略コンサルティングファームの株式会社ローランド・ベルガーの会長による日本のMBAスクール、及び日本人学生達への強い警告書。

本書発刊の前年まで勤めていた古巣、WBSに対する批判が多くを占めていて、人によっては眉をひそめそうですが。国内のMBA、経営大学院は乱立状態で大変な状況で、MBAホルダーが乱造されているというのはそうなのかもしれないと思いました。一応本書の中で中国や香港のMBAについても触れられていて、そちらは「良いMBAの例」的には扱われていましたが(著者は以前長江商学院でも教えていたため)。

日本の企業文化の評価軸ではMBAの必要性、妥当性がないというのはまさにその通りで、だからこそ僕も香港に残り、非日系企業で働いています。とはいえ、彼自身MBAに留学していたけど海外で多様性に触れるという点くらいしか得るものが無かったというのはどうなのか?と思います。しかも社費留学だったわけで、お金を出してくれた元の会社の人が知ったらどう思うか...。

個人的には、学問的な意味で経営学を学ぶのが主目的であれば国内のMBA、特にグロービス経営大学院大学は必要にして十分で費用対効果も高い、というのが10年前からの自論。海外MBAはそれ以外の付加価値、魅力を求めていくものだと思っています。

最後の章で、自分が行っている個社事の教育プログラムについて述べていますが、本書は本来ここを売りにしたかったんだろうなと思いました。国内MBAよりも自分の教育プログラムの方が日本企業、日本人に最適ですよと。その前振りにあたるWBSへの批判が多すぎて、構成が残念だなというのが僕の書評。

結論を言おう、日本人にMBAはいらない (角川新書)
遠藤 功
KADOKAWA (2016-11-10)
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