『ビル・ゲイツ、北京に立つ―天才科学者たちの最先端テクノロジー競争』読了

2007年発刊の本書、序章からエピローグまで、香港科技大学の名前が何度も出てくるのに驚きました。マイクロソフト中国研究所(現マイクロソフトリサーチアジア)は中国の大学との共同作業のために清華大学や香港科技大学等中国のトップ校と提携しているそうです。

さて本書のタイトルはちょっとミスリーディング。ビル・ゲイツはあくまでも脇役であり、本書では北京に基礎研究や応用研究を行う研究機関を設置するところから始まり、それらを支えた中華系メンバーの物語です。音声認識や画像処理、検索技術と、今のマイクロソフトの製品群に入っている重要技術が実はここで生まれ、製品部門に技術移転されたそうで、非常に重要な拠点となっています。

初代研究所長の李開復について、本書最終章近くでも述べられてますが、中国の優秀な学生達により良い機会を与えるべく、グーグルの中国研究所開設を担当するためマイクロソフトを辞め、訴訟問題にも発展します。それだけマイクロソフトの作ったリサーチセンターは競争の源泉になりえるということでしょう。ここから生まれてVista以降のOSに採用された技術は少ないそうです。さすがマイクロソフトです。

ビル・ゲイツ、北京に立つ―天才科学者たちの最先端テクノロジー競争
ロバート ブーデリ グレゴリー・T. フアン
日本経済新聞出版社
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