郭台銘(テリー・ゴウ)。日本では数年前まで誰も知らなかった、台湾の製造業大手の創業者です。彼に関する数少ない日本語で書かれた本が本書。
彼の名前や会社が日本人の間でも有名になったのは、シャープへの投資~買収劇。中華圏では超有名人で、僕も香港人と日本人の友人達が日本の会社から彼の有するフォックスコンへ引き抜かれて深圳に住んでいたので、2007年頃からその存在とすごさを知っていました。当時から既に深圳工場は10万人規模であり、工場敷地内には学校から病院まで揃っていて、聞いたときはビックリしたものです。
とはいえ、そんなことを知っている日本人はごく一部。圧倒的大多数の人には郭台銘やフォックスコンがどのような会社なのか分からないので、入門編としては非常に良い本だと思います。シャープとの買収劇にしても、僕にしてみたらシャープ経営陣がダメダメなだけで、郭台銘は出来るだけ投資対効果を上げるためにあらゆる手を使っただけ。当たり前の事です。
シャープ買収後、そのブランドをフォックスコングループにどう活かしていくのかという点と、郭台銘の後継者問題。この2つがキーでしょうね。前者に関しては台湾で消費者に知名度が高い企業を一度失敗、撤退している経緯が本書でも触れられているので、その経験を活かして今度は成功出来るのか。2点目に関してはどの創業社長でも迎える課題。ソフトバンクの孫さんやユニクロの柳井さんも同じ課題を抱えてますからね。このあたり、非常に興味があります。