『反省記―― ビル・ゲイツとともに成功をつかんだ僕が、ビジネスの"地獄"で学んだこと』読了

1980年代、日本のコンピュータ業界のみならず、マイクロソフトが大躍進を遂げた時期に関わっていた、著者による半生記ならぬ反省記。といっても反省が足りないような気がしましたが...。

1970~80年代は日本も世界のパソコン業界に大きく貢献していたのですが、著者はまさにその一人であり、これまで出てきた様々な記事より詳しい話が実体験として記されていて、読む価値が非常に高い本です。

例えばマイクロソフトが帝国と呼ばれるほど大きくなるきっかけは間違いなくIBMへのMS-DOS供給になるのですが、その際大成功しかねた男の話としてCP/MというOSで有名だったDR社のゲイリー・キルドールの話が必ず出てきます。実はそこで不思議だったのは、なぜIBMはBasicを買いにマイクロソフトに行ったのに、OSも必要としていたのか。それは著者が関わった沖電気のif800をIBMが買って調査をしており、マイクロソフトBasic+CP/Mという構成を念頭に交渉していたからだそう!こんな話は以前聞いたことが無いので、現場にいた著者しか出せない話です。

さてそんな著者もけんかっ早く見栄っ張りな性格のため多くの人達と喧嘩別れして、それを反省しているようです。ビル・ゲイツとは90年代に和解していたようですが、実はマイクロソフト株式会社初代社長の古川亨さんとは未だに和解していないようで...本書を読み終わった後著者のWebで見てみると...。

古川さんが出した半生記を読んでまだ怒っており、これが半生記を書くきっかけになったみたい...あちゃー。この二人、経営の一線から退いた後、共に若い人達への情報教育に力をいれているので、二人が力を合わせたらもっとすごいことができるのではないかと勝手に思っているのですが、難しそうですね...。