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『ホワイトアウト』などで有名な真保裕一が書いた、選挙を舞台にした30代の青春活劇。たまたま羽田空港の本屋で見かけたのだけど、面白そうだったので、後日改めて購入。
読みは当たっていて、非常に面白かった。34歳でリストラされ、家族とも別居生活を送ることになった駒井が、その親友で、彼女を取られて以後複雑な思いを抱いていた天知から、選挙に出るので右腕になって欲しい、と口説き落とすところから物語がスタートします。
この2人を中心に、政治とはいったいなにか?、今の政治や選挙制度の問題点は?という、普段はなかなか会話に出てこないような話がぽんぽん飛び出します。主人公の1人である天知をして、非常に青臭い、でも誰もがうなずくであろう正論を言わしめ、駒井をしてより現実な、あるいは市井の人々の考えを言わせています。
僕は過去にBBS版の徒然なるエッセイでも書いたかもしれないけど、政治家は国民の鑑だと思ってます。政治家が腐っているなら、その政治家(いや、政治屋といったほうが正しいか)を選んだ国民自体が腐っているのだと。
ほとんど唯一残された「投票」という、国を変える権利を行使する人が50%を切るようでは、そう思われても仕方がないかと思います。
「選挙に行って、投票して何が変わる?何も変わらない」とほおかむりして問題先送りする様はまさしく政治屋と一緒。でも選挙に行って投票する以外に国を変える方法は(革命などを除けば)無いわけです。
天知は現状の政治家を変えるのではなく、まず自分たちから変わろう、変わらなくては、と訴えて選挙を進めていきます。その気持ちはすごくよく分かります。国民の意識が変わらない限り、政治家も顔ぶれ変えてもやることには変わりがないでしょう。
選挙を舞台に、といっても流石真保さん。非常に軽やか、爽やかに描ききっていて、非常に読みやすいです。是非、読んでみて、小説の中の話と思わないで、改めて政治について考えてみて欲しいです。
そういう意味では、現在週刊少年マガジンでも連載されている、そしてドラマもなった「クニミツの政」もおすすめです。