『桃姐』観ました。

葉徳嫻(デニー・イップ)、劉徳華(アンディ・ラウ)主演、秦海璐(チン・ハイルー)、秦沛(チョン・プイ)、黄秋生(アンソニー・ウォン)、徐克(ツイ・ハーク)、洪金寶(サモ・ハン)、杜汶澤(チャップマン・トー)、羅蘭(ロー・ラン)、江美儀等出演。許鞍華(アン・ホイ)監督作品です。

例によってあらすじは香港電影迷宮さんのblogでどうぞ。

■[見る][香港映画]《桃姐》:2011-09-28 - 香港電影迷宮 blog

この映画でベネチア国際映画祭の主演女優賞を射止めた葉徳嫻。実際にはまだまだお若いのですが、この映画では老けメイクでおばあさんの役。メイクだけではなく、仕草や動作もまるでおばあちゃんで、ベネチアでの写真を見てびっくりです。

葉徳嫻と劉徳華は昔からテレビドラマで親子の役を演じてきたとかで、香港人には理想の親子像らしいです。今回は直接の親子ではないのですが、1家4代にわたって使えてきたメイドとその4代目のお坊ちゃん、という擬似的な親子の間柄。二人の演技の自然さといったら、もう。

許鞍華は『天水圍的日與夜』の時からさらに磨きがかかっていて、日常の一コマを上手く切り取って、退屈させずに届けてくれる希有な監督。そしてこれは香港人のみならず、多くの国の人の共感を得られるからこそ、ベネチア国際映画祭でも話題になったのでしょう。

劇中、徐克と洪金寶がちょい役で出てきます。徐克、カメオ出演結構多いですよね。見た目は悪くないし、個性派俳優としても十分稼げそう(笑)

老人院(日本で言うところの老人ホーム)の実態も、非常に勉強になりました。実は以前から、九龍の倉庫街辺りの古い建物が老人院になっているのをみて、気になっていたのです。

1棟の建物に対して、複数の老人院が入り口分けて入居しているケースが多いのですが、これは1軒老人院が入居すると他の入居者が出て行ってしまい、結局老人院しか入居してこないのでは...と踏んでいます。

劇中に老人院の1ヶ月の請求明細が出てきて、劉徳華が「複雑でよくわからないな、ぼったくってるのか?」というシーンがあるのですが、確かに上手い?仕組み。

部屋の広さに応じて月額基本料金が決まり、劇中の1人部屋(といってもシングルベッド2つ分程度の広さで、ベニヤ張りの壁、プライバシーほぼゼロ)がHKD5,000。これにおむつ代(ブランドにより値段が違う)、外出時のヘルパーさん代(人種によって!値段が違う)等々、細かい支出が別料金にされて、基本料金だけ見ると安く見えるという仕組み。老人院経営にも香港らしさが出まくっているのが怖いです。

ベネチアの時のインタビューで葉徳嫻は「私は老人院には入りたくないと思いました。そうならないようこれからも稼ぎます」と答えたそうな...。