1992年に発刊された、20年も前の本です。会社の本棚で見つけたので読んでみました。
まだ鄧小平が元気で、丁度南巡講話を行う直前辺り、そして第二次天安門事件が起こった後に書かれた本です。2/3位が著者が長年勤めてきた自動車産業のお話なので正直面白くないのですが、後半の1/3で彼の北京駐在時の話、特に第二次天安門事件の下りが出てきて、非常に興味深く読みました。
彼が見た現場では、本では多少ぼかして書いてありますが、一般市民や学生を「装った」人達が、明らかに軍用車としてはあり得ないくらい燃えやすく出来た車を、当時「規制品だったガソリン」を使った火炎瓶により炎上させていたり、一般市民が「職業軍人」を捕まえて撲殺、その現場を「丁度いい確度から」CCTVが撮影していた、とあります。つまり、天安門を制圧するためにやらせをしていたようです。
おおっぴらにこんなこと書いてある本や雑誌は今まで見たこと無かったので驚きましたが、中国なら十分に有り得る話。この下りを読むだけでもこの本を読んだ価値がありました。
もちろんこんな血生臭い話はごく一部で、あとは著者の21世紀における中国の立ち位置を、かなり高い精度で予測していたり、日本が今後中国においてどのように向き合うべきか、という提案など、今なお有効な(そしてこれは20年前から日本人の中国に対する考えが変わっていないという証拠でもある)意見が纏められています。
自動車産業の話を除いた部分に関しては、今でも必読の書だと思います。
中国でのビジネス―北京駐在員の夢と記録
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渡辺 真純
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