『SEALDsと東アジア若者デモってなんだ!』読了

題名だけ見ていたら多分買わなかったと思います。実はこの本はSEALDsのみならず、それと対比させるために台湾のひまわり學運と香港の雨傘運動の分析も結構な分量割いて書かれています。なんと言っても中国圏専門家である福島香織の本だから。

前書きにそのあたり大人の事情が書かれていますが、ひまわり學運だけ、もしくは雨傘運動だけ、で本当は本を出したかったようですが、今の日本では採算に乗るだけの部数がでないとの判断で見送りになっている様子。そのため、SEALDsとの対比という形で本書に載せています。

中国関連図書の売れっ子遠藤誉が関わっている『香港バリケード――若者はなぜ立ち上がったのか』ですら、あまり売れなかったようで。中国圏の若者の動きについて日本での関心の低さが悲しいですが、それが現実なんでしょう。国内だけでも課題山積みお腹いっぱい状態。

SEALDsに関しては、中心メンバーが思ったよりも真剣に考えているようで、著者と同じように評価を変えた部分も若干あります。が、民主主義が根付いている日本ではデモ以外の方法論、もしくは安倍自民党へのデモではなくて別の対象(例えば占拠に無関心な人々)へのデモなど、他にやりようがあるんじゃないのかなと思います。

ということで題名で敬遠せず、台湾や香港の若者達の動きを押さえたい人にぜひオススメする本です。

SEALDsと東アジア若者デモってなんだ! (イースト新書)
福島香織
イースト・プレス (2016-02-10)
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