2000年代前半、村上ファンドで悪名をとどろかせた著者による自伝。
冒頭でご自身の家族について書かれていましたが、お父様が台湾出身とのこと。外省人か内省人か書かれていないですが、華僑の血を持っているのであれば、投資に強いというのは理解しやすいです。またお父様も生涯投資家だったようで、シンガポールや香港で投資をしていたとのこと。DNA+環境で、通産官僚時代の16年が著者にとって本来の自分とは違うことをしていて、残りの人生は全て投資家のようです。
さて、本書を上梓した理由については本書最後にも書かれていましたが、インタビューでも答えていらっしゃるので、以下にリンクを張っておきます。
日本を揺るがした投資家が寄付の世界へ 事件と震災が変えた村上世彰のいま:BuzzFeed News
本書では著者が手がけた投資の中でも、ご自身でエポックメイキングなものを取り上げているようですが、投資としてはことごとく失敗に終わった案件ばかり。著者のぶれない信念は本書を通じてよく分かるし、日本のためにもそうあるべきだというのも理解出来るのですが、頭が良すぎるためか、回りに対してその想いを丁寧に、時間をかけて説いて回るということが出来なかったようです。その術を持っていれば、もう少し違う形で著者の想いが結実していたのかも...とも思いました。
有罪判決が出ていますが、僕はライブドアも村上ファンドの事件もどちらも国策捜査であり、無罪であるべきだだったと思います。なので本書を読みながらより一層著者に対して親近感を持ちました。