上下巻の大作ですが、一気に読み終わりました。フォーチュン誌時代から記者としてスティーブ・ジョブズと20年以上の付き合いがあった著者による、スティーブ・ジョブズ成長物語、です。
スティーブ・ジョブズに関する著書は僕も結構読んでいますし、本人公認の自伝も読みました。それらにはスティーブの素晴らしい面と暗黒面、両方もしくはどちらかが書かれていましたが、本書は別の視点から描いています。
それは、そもそも自分で創業した会社を追い出され、夢よもう一度と作った次の会社(NeXT)やひょんなことから買う事になったアニメ制作会社(ピクサー)の経営していた失意の10年程の期間を経てアップルに舞い戻った後、つぶれかかっていたアップルを再建し、世界一の会社に仕立て直す事が出来た、その理由です。
本書上巻では、主に失意の10年でスティーブが会社を経営することに対し、そして仕事に対し、何を思い、何をどう学んだのか、つぶさに見ていっています。下巻ではその経験から学んで一回りも二回りも成長し、成熟したスティーブがどのようにアップルを再建し、そして癌と闘っていったのか、そのためにやるべき事をそぎ落としていって集中と選択をどうしたのか、という事を描いています。
生前スティーブとも交流のあったジム・コリンズをして「スティーブ・ジョブズは成功物語ではなく、成長物語だ」と言わせたそうですが、まさにその成長の過程がこれまで他の本ではほとんど触れられていなかった点。本書は、その成長の過程をしっかり描き出していて、読む人に共感をもたらすと共に、読む人に勇気も与えるものだと思います。非常に好著で、オススメです。
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