本作品では農薬とGMO(遺伝子組み換え作物)がテーマ。人畜無害な農薬での農業か、無農薬野菜、というのは理想かもしれないけど現実的には収穫高やコストを考えると難しいのが実情。
さらに農薬の代わりにGMOを拡大しようとする米国からの圧力も描き、日本人として農業に対してどう向き合うべきか、小説という形で問うています。
2011年に発刊された『黄土の疾風』でもGMOがテーマになっていますが、時代の趨勢なんでしょうね。日本ではまだまだ心理的抵抗も強くて実際の食用作物として栽培はされていないようですが、アメリカから輸入している飼料用穀物のうち多くがすでにGMOということなので、間接的に口にしているのが実情。
このままなし崩し的に受け入れてしまうのか、しっかり受入体制を作っていくのか。小説の中では受入体制をしっかりした上で慎重に進める結末にはなっていますが、現実世界はどうなるでしょうか。