【70】「文章+写真」の素晴らしさ

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今日は寒い一日でしたが「文章+写真」の組み合わせに触れ、ちょっと豊かな気持ちになった。


朝、目覚めてメールチェック。フランスの友人からのメール。彼はパリ在住、写真と共にその時感じたことなどを時折メールで送ってくれる。今回はマドレーヌ広場にある食料品店のクリスマスの飾り付け。なんと建物自体に赤いリボンをかけてプレゼント箱っぽく作り上げてある、それを写真に収めて送ってくれた。

パリで頑張っているその友人の力強い活躍を思いつつ、同時にそんな奇抜な写真を撮ろうと思い立った彼の感性にも感じ入った。寝ぼけていた筆者をたたき起こすが如く、大陸を越えて届いたその新鮮な文章と写真が筆者の心に焼きついていく。


客先に直行し、昼前にオフィスにもどる。普段はお客様からの注文書や、業者からのカタログくらいしか届かない筆者のメールボックスに、見慣れぬ厚めの封筒が。書籍小包と赤いハンコが押されたその包みは、先日高校の同窓会でお会いした大先輩から筆者に送られたものであった。

筆者の高校は田舎の伊賀上野にある。しかし地元を離れて東京に出てきた人たちを集めて東京地区同窓会というものが結成されており、その集まりに顔を出すと、今年高校を卒業した人から旧制中学校卒業の大先輩方まで、百人以上の方々が集まる。今回その書籍を送ってくれたのもそんな同窓会の場でお会いした方。この先輩、筆者の祖母の幼馴染であった。苗字を拝聴した際、筆者の祖母の旧姓と同じだっため、もしやとおもったのであるが、祖母の実家とその先輩の実家は隣同士であった。そんなこんなで話が盛り上がり、会社の名刺を渡しておいたところ、わざわざご自身で私費出版された本を送ってきてくれたのである。

この本は、先輩の御父様が日中戦争に従軍された際に日々つけておられた日記に、当時の写真を合わせる形で構成されている。召集されてから、中国(当時支那と呼ばれていた)の土地を回り、帰国するまでの状況が、気持ちの揺れ動きと共にきめ細やかに記述されている。そして柘植駅や新堂駅で日の丸を振る人々の姿や、そこから出発する蒸気機関車の姿が載っている。驚いたのは近所の人々との集合写真で、そこには本を贈ってくれた先輩自身のほか、従軍日記を残された御父様、そして筆者の祖母の姿も写っていたのである。

先輩が送ってくれた本は、距離的な遠さと、年代的な遠さという両方の現実を、同時に筆者に強烈に投げかけた。この本は年末までにしっかり読んで、そして帰省する際に持ち帰るのが良いだろう。祖母を含めて家族とこの本を眺めたい。


フランスから今現在の写真と文章を受け取り、そして先輩からは数十年も前の写真と文章を受け取った。それら自体は何の関連性もなく、偶然であるのだが、同じ日に、同じ人間に対して届いた、異なる性質の「文章+写真」、なんとも不思議である。そしてなんとも印象的、感動的である。

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このページは、もりもりが2002年12月 3日 23:29に書いた記事です。

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